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第三版まえがき
 本辞典は, 『リーダーズ英和辞典』第 2 版 (1999 年刊) の全面改訂版である. 旧版刊行後の 10 余年間に, 英語は以前にもまして大きな変貌を遂げた. そこには, インターネットが地球上を覆い, 政治・経済・文化活動のグローバル化が進行する中で, 英語が共通言語としてますます大きな役割を担うようになっている事実が深く関わっていよう. 新たな単語が生み出されるだけでなく, 既存の語においても, 意味の比喩的転用・拡大は日々進行している. 私たちはこうした状況を長期間にわたって注意深く観察し, 正確かつ簡潔に記述することに努めた. その結果, 新版は旧版に比して収録項目数でおよそ 1 万, 内容量 (文字数) にして約 10% の増加を見るに至った.
 今回の改訂の目的は, コンテンツの物理的拡大だけにあったのではない. それと並んで, あるいはそれ以上に私たちが重視したのは, 旧版の訳語が英語の意味を正確に反映しているか否か, また現代日本語として的確であるかどうかの検証であった. 英語の意味にどこまで肉薄できるか, これこそが英和辞典編集者の最大にして永遠の課題であると信じるからである.
 先行する二つの版は, 編集主幹の松田徳一郎教授と社内にあって編集部を統轄した池上勝之氏の合作である. 二人は初版 (1984) 刊行以前から別に準備を進め, 「すべての英和辞典の補遺」と銘打って, 19 万項目に及ぶ多彩な語彙を収めた『リーダーズ・プラス』(1994) を世に問うた. また併行して, 「擬音語」「ビジネス」「理化学」「医学」に関する本格的な専門語辞典を企画し, 次々に上梓した. これらが『プラス』とともに『リーダーズ』第 2 版の信頼性を高めたことはいうまでもない. その後も, 「ファッション」「英米法」「歯学」の諸辞典が加わり, 「ビジネス」「医学」が改訂版を出して, 今回の『リーダーズ』本体の改訂に寄与した. 寄与といえば, 研究社がウェブ上に開設したオンライン辞書 KOD の存在も忘れるわけにはいかない. ここには研究社の主要な辞典 19 点に加えて独自の補遺部門があり, 新語・新語義が常時追加されている. その英和の部に蓄積された項目は今日 4 万 4 千を超えている. 私たちはこれをも自由に利用できたのである.
 松田, 池上両氏が新版の刊行を見ることなく世を去られたのは痛恨の極みであるが, 私たちは上記の周到な準備のお蔭で順調に改訂作業を進めることができた. 社内では関戸雅男社長のもと, 川田秀樹氏と鈴木康之氏が編集部を指揮して事に当たった. 執筆者を代表して, ここにすべての関係者に御礼申し上げたい. あとは使用者の評価を待つのみである. 忌憚のないご意見をお寄せいただきたい.
 
 2012 年 6 月
         高橋 作太郎
 
 



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