新和英大辞典第5版 メニュー 


3 英語訳
(1) 訳の間の区切り
 1 つの日本語に訳が複数あるときの区切りには
i) 訳語 (words)・句 (phrases) についてはセミコロン (;) を用いた.
ii) 訳文 (sentences) については | の記号を用いた. なお, センテンスどうしが必ずしも同意義を表さない場合があるが, これらはいわゆる直訳と意訳, および日本文の語感から来る解釈の相違とご承知ありたい.
 ただし, [ ] ( ) 《 》 の各記号の内部では, 原則としてコンマ (,) を用いた.

(2) 名詞の冠詞について
 可算名詞には a, an をつけ, 可算・不可算両方ある場合には (a), (an) のように ( ) を用いた(後出 各種記号一覧表 (4) i) 参照).

(3) スペリングとシラビケーションについて
 基本的に米国式スペリングを優先させた. スペリングとシラビケーションの基準はだいたい米国 Merriam-Webster 社の辞典によった. なお, 米・英で著しくつづりの違うものは 《米》 (=米国式), 《英》 (=英国式) の記号表示で断ってある(この記号の本来の用法について, 後出 各種記号一覧表 (20) 参照).

すく【鋤く】
《米》plow [《英》plough]; till; ...


(4) 訳の中のイタリック体
i) 英語以外の言語 (日本語を含む) に由来する語句で (まだ完全には)英語化していないことを意味する. 次の (5) i) を併せてご覧ありたい.
反小説 [F] anti-roman.
ii) 特に動植物の学名や, 用例で「作品名」を持ち出した場合のその訳の表記に(後出 (8) i) 参照).

ぬく【抜く】
この一節は「ヴェニスの商人」から抜いたものだ. This passage was extracted from The Merchant of Venice.

(5) 日本語のローマ字書き
 訳の中で日本語の語句(固有名詞を含む)をそのままローマ字化する(後出「ローマ字つづり方表」参照)とき, 書体の違いなどは以下に述べる原則にのっとった.

i) 米国の辞典複数の見出しを照合して, それらの辞典に共通して収録されている語は英語化したものと見なし, その見出しのつづり(ローマン体)を採用した. (「ローマ字つづり方表」の後に, それら全単語のリストを掲載.)
ii) 上の条件に当てはまらない普通名詞は, イタリック体で表記した.

 用例に, 英訳が説明的にならざるをえないような, ごく日本的な事物が含まれるときは, イタリック体でのローマ字書きをもって, その英訳に代えた. 詳細な訳は, その語句の見出しを参照されたい.

きまる【決まる】
●助六が花道で見得を切って決まった. Sukeroku struck an exaggerated pose on the hanamichi and held it.

はなみち【花道】
a “flower way”; an elevated walkway running from the stage to the rear of a Kabuki theater through the audience.

iii) 固有名詞は原則ローマン体とした. また, 人名はローマ字書きでも姓, 名の順を採用した.

(6) [ ] による訳語句の言い換えについて (後出 各種記号一覧表 (3) i) 参照)
 下に注記する場合を除き, [ ] 内の語句と置き換え可能な語句(語が複数のときは最初の語)の左肩に 「 という記号を付し, 言い換えの対象範囲が明確になるようにした.

けいけん【経験】
得難い[貴重な]経験 a 「precious [valuable] experience
わかるよ. 僕にも経験がある. I know what you mean. I've 「been through it, too [had the same experience]. (“I've been through it, too.” と “I've had the same experience.” の 2 つのセンテンスをまとめたもの.)

 次のケースでは 「 の記号は用いていない.
i) 言い換えの対象範囲が訳の最初からであるとき.
ii) 同一訳中に [ ] を複数含む場合で, 後の [ ] の対象範囲がその前の [ ] の直後からであるとき.

こっかい【国会】
臨時[特別]国会を召集する convene [summon] an extraordinary [a special] session of the Diet

iii) ハイフンを含む語の内部の言い換えで, 次のように対象となる部分が自明のとき.

ぼくよう【牧羊】
sheep-breeding[-farming, -raising].

(7) 動植物名について
 本邦産の動植物は外国のそれと完全には一致しないものが多いので, そのような場合は最も近似の種と考えられるものの英語名, またはその種を含む属あるいは科の動[植]物を総称する英語名を挙げ, 英語名が得られない場合は学名だけを示すにとどめた.

しらこばと
【鳥】 a collared turtledove; Streptopelia decaocto.

ひぐま
【動】 a brown bear; Ursus arctos.

みずばしょう【水芭蕉】
【植】 〔サトイモ科の多年草〕 a skunk cabbage; Lysichiton camtschatcense.

いそちどり
【貝】 Amathina tricarinata.

(8) 作品名, 法律名, 機関・団体名について
i) 作品名の見出し語訳はイタリック体ではなくローマン体で表記した(前出 (4) ii) 参照). 日本古典文学の作品名については, 一般的な英訳を示し, 音訳は省略した. 実際には「古事記 (Kojiki)」「万葉集 (Man'y ̄osh ̄u)」「古今集 (Kokinsh ̄u)」「方丈記 (H ̄oj ̄oki)」など, 音訳がそのまま作品として通用している場合もあるが, これらについても英訳を提示するにとどめて, 特に音訳を示すことはしなかった. ただし, 用例の訳においてはこの限りでない.
ii) 日本の国内法の名称については, 英語訳が公式には特に定められていないという事情があり, 本辞典では一般に英語訳として使われることが多い英語を基本的に利用した.
iii) 英語圏以外の国・地域の機関・団体については, その機関[団体]が自ら使用している英語名称があれば, それをそのまま採用した.





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